解決事例
購入してから7,8年ぐらいのノートパソコン(Windows10)の動作が遅く操作に支障が出ている
「購入して7,8年ぐらいするノートパソコンで、購入時は問題なく利用していたが、だんだん動作が遅くなり、最初の起動に時間がかかるようになった。ソフトを起動してからも動作が遅く、Officeのソフトで作業するのにも支障が出ている。」
調査内容
出張訪問で相談者様のお宅にご訪問し、問題のノートパソコンの状態を確認、調査いたしました。ノートパソコンの電源ボタンを押してからWindowsのログイン画面が表示されるまで7、8分程度かかる様子。ログインしてから「エクスプローラー」や「ブラウザ」の起動や動きも遅い状態を確認することができました。相談者様は、インターネット回線の速度が遅いのでは思い、“インターネット回線の契約プランを300Mから1Gのプランに変えてみたが改善されなかった。”というお話も伺いました。
ノートパソコンの状態を確認すると、異音がする、高温になっている、破損しているといった様子はなく、物理的な故障の可能性は低いことがわかりました。ノートパソコンのハードディスクの空き容量も半分程度空きがある状態で、問題はないかのように見えますが、物理的な故障以外にもノートパソコンの動作が遅くなってしまう原因として以下のようなケースが挙げられます。
- 常時起動しているアプリが多い
- OSなどのソフトウェアの更新が行われている
- ウィルス対策ソフトのウィルスチェック(スキャンなど)が行われている
- ハードディスク内のデータが断片化している
- ノートパソコンの性能が不足している
- ソフトウェアに不具合が生じている
調査した端末
・東芝 dynabook RX33 ※2017年販売
原因と解決手段
ノートパソコンを確認し、今回、ノートパソコンの動作が遅くなる原因として主に以下の項目に該当することが確認できました。
- 常時起動しているアプリが多い
- ハードディスク内のデータが断片化している
- ノートパソコンの性能が不足している
「常時起動しているアプリが多い」場合の解決手段
最初に確認することは、常時起動しているアプリがどの程度あるのかを確認することです。Windowsが搭載されているパソコンの場合、起動しているアプリを確認する方法に「タスクマネージャー」というツールが最初から入っているため、「タスクマネージャー」を起動するだけで、常時起動しているアプリがどの程度あるのかを確認することができます。
「タスクマネージャー」は、すべてのアプリの一覧の「Windows ツール」という項目内にあります。また、Windowsの検索窓に「タスクマネージャー」と入力して検索して「タスクマネージャー」を起動することもできます。
上図が、起動した「タスクマネージャー」になります。確認するのは「バックグランド プロセス」に掲載されている内容になります。自分ではアプリを起動して使っていないと思っていても、見えていない舞台裏(バックグランド)でアプリが稼働していることがわかります。「バックグランド プロセス」に掲載されるアプリが多い状態だと、それだけ多くの処理を行う必要があるため、パソコンの動作が遅くなる原因になります。
解決方法としては、起動不要なアプリなどがないかを確認し、不要なアプリは起動しないまたは削除するなど設定を変更することで解決することができます。さきほどの「タスクマネージャー」図内にある「映画&テレビ」「ニュースと関心事項」「スマートフォン連携」などは、利用しない場合は起動していなくても問題はないので、パソコン起動時に起動しない設定に変更することでパソコンへの負担を減らし、動作が遅くならないように予防することができます。
「ハードディスク内のデータが断片化している」場合の解決手段
「ハードディスク内のデータが断片化している」と聞いても専門的な話でイメージが難しいと感じる方もいらっしゃると思います。「ハードディスク内のデータが断片化している」状況がどのようなものか説明をすると、初めにハードディスクというのは、下の図のような箱が並ぶ倉庫だとイメージしてみてください。箱には書類(ハードディスクではデータ)が保管されています。
この倉庫で、ひとつの箱に収まらない書類(データ)があると、別の箱に書類(データ)を分けて保管する必要が出てきます。隣接する箱にそれぞれ保管すれば探し出すことも簡単ですが、隣の箱が使用されているといケースも発生します。そして倉庫に多くの書類が出たり入ったり(データの保存や削除)することが行われると、同じ区画の箱がすべて埋まっていて、かなり遠く離れた区画の箱に保存しないといけないということが起きる可能性が高まります。このような、ひとつの箱に収まらない書類を分けて保管しないいけない場合、かなり遠く離れた区画の箱に保存しないといけない状況こそが「ハードディスク内のデータが断片化している」という状況になります。
倉庫内で別れた書類を探す=探すために時間がかかる=ハードディスク内のデータの処理が遅くなる
上記のような状況により、ハードディスク内のデータが断片化することがパソコンが遅くなる理由のひとつになります。
「ハードディスク内のデータが断片化している」を解決するためには、断片化しているデータを整理するソフトが必要になります。Windowsが搭載されているパソコンの場合、すべてのアプリの一覧の「Windows ツール」という項目内に「ドライブの最適化(デフラグ)」というツールがあります。
Windows10ならば、毎週自動的に「ドライブの最適化(デフラグ)」を実行して最適化が実行されるように設定されていますが、パソコンを毎日は利用しない、1週間以上あけた利用が多い、長時間パソコンで作業しないなどで、最適化が実行されず断片化が進み、パソコンが遅くなる原因となります。
最適化(デフラグ)を実行するときは、ハードディスクに負担をかけるため、以下の点に注意してください。
- 最適化以外の作業を行わない(データの保存や削除を避ける)
- ハードディスクの容量が大きいと最適化に時間がかかる
- 空き容量を確保しておく(全体の15%以上の空き容量)
- HDDが劣化しているまたは故障しそうな状態の場合は最適化を実行しない(物理的な故障の原因となる)
自分で最適化してもよいか判断に迷う場合、経験豊富なプロに任せることも一つの方法です。迷ったらご相談ください。
「ノートパソコンの性能が不足している」場合の解決手段
ノートパソコンの性能を知るために最低限「CPU」と「メモリ」を確認してみてください。Windows 10を利用するためには最低限、以下の性能が必要になります。
Windows 10 のシステム要件
- CPU:1ギガヘルツ(Ghz)以上
- メモリ:2GB(64 ビット版)
ノートパソコンの「CPU」と「メモリ」を確認すると、以下の性能であることが確認できました。
ノートパソコンの性能
- CPU:インテル® Celeron® プロセッサー 3865U 1.80GHz
- メモリ:4GB
ノートパソコンの性能は、Windows 10を利用するための要件をクリアしていますが、Windows 10を利用するためにノートパソコンの性能の50%を必要とする可能性があり、あまり余裕があるとは言えません。
常時起動しているアプリが多いなか、Officeのソフトなどを利用するとノートパソコンの性能の100%を超え、ノートパソコンがフリーズしたり、動作が遅くなる可能性が高いと言えます。
「ノートパソコンの性能が不足している」場合の解決方法は、性能を上げるしかありません。該当のノートパソコンではメモリを交換・増設することが可能なようでした。
ノートパソコンによってが性能を上げる部品の交換・増設ができないタイプもあります。ノートパソコン購入時に十分な性能がある製品なのかを選ぶことが重要になります。
「パソコンの選び方サポート」として、用途に合わせたパソコンメーカー、スペック、必要な周辺機器等もご提案できますので、相談してください。